03:SELF PRODUCER

作詞:こだまさおり 作曲/編曲:菊田大介(Elements Garden)

澄川龍一

昨年10月にリリースされたシングル曲であり、パンキッシュなアプローチで茅原実里の新たなイメージを印象づけた一曲だ。盟友・菊田大介(Elements Garden)によるサウンドはアッパーなバンド・サウンドにストリングスやホーンといった、とびきり底抜けに明るいポップネスを持ちつつ、どこか上品さがあるのがさすがなところ。ここで歌われるのはいわゆる女子の背中を押す応援歌的なもので、茅原も女子的キュートさを見せつつも、どこか頼りがいのある包容力が感じられる。ノビノビとした歌声は、シンガーとしての彼女の進化が始まっていたことを示すようだ。

冨田明宏

恋する女の子が持つ秘められた可能性と底知れぬパワー。それをグイッ! と引き出し、背中をポンッ! と押してあげるような、ポップでミラクルな歌詞が印象的な「SELF PRODUCER」が3曲目に登場。「TREASURE WORLD」までの流れからハッキリとした場面転換を表現した。また、“恋に恋する”このハッピーな感情も、テーマ・パークに相応しい景色の一つ、ということなのだろう。2012年のアニサマで初披露された光景が今も瞼に焼き付いているが、数々のヒット曲を手がけてきた菊田大介と生み出した新機軸ともいうべきこの楽曲のインパクトは本当にすごかった。“恋心”というストレートな感情を、茅原の闊達で晴れやかな歌声で響かせたこの曲こそ、ファンにとっては一番心にグッとくるラブソングかもしれない。

西原史顕

そしてハッピーなロックナンバーへ。“思い通りに恋しよう”の頭サビからして前向きすぎて、快活な女の子の姿を想像せずにはいられない「SELF PRODUCER」だが……そうか! 僕たちは今、茅原実里が作り出した世界でデートを始めたところなのだ。隣は自分のことを好いてくれている、まだ見ぬ誰かでいい。あるいは茅原実里と一緒に……。これこそ妄想以外の何ものでもないのだが、M2で恥じらいを捨て音楽を楽しむ準備ができた僕らはすでに無敵状態。サウンドと歌詞に感化され、あらぬ想いを抱いたところで罪にはならないだろう。男性なら恋する女の子を、女性なら恋する自分を自由に想像すれば良い。夢の国はやはり、愛する人と歩きたいのだ。

吉田尚記

キャッチー!!!文句なく楽しい!!でも、「思い通りに恋しよう」というのは、かなーり、攻め攻めな価値観。。 「片思いも両思いも」と、そうそう思い通りに行かないことを、テーマパークといえば恋人とくるものでしょうが、 ここまで来て、思い通りにしたくないわけ無いでしょ!と楽しまされているうちに、覚悟を決めさせられちゃってる気が…!

齋藤光二

「ねぇねぇこっちだよー!」
さっきまで広場で楽しそうに踊っていた女子高生の仲良しグループです。思い思いのお気に入りグッズで制服を飾り、ジェットコースター乗り場にやって来ました。
可愛いは正義!これが今日のコンセプト。
話題はいつも恋バナ。そんな彼女たちの限りなく愉しそうな絶叫が聴こえてきます。
この曲に乗り込んだ途端、そんな光景が開けてきました。
コーナーを駆け抜ける遠心力さえ感じられるキャッチーでハッピーなチューンです。

クロスレビュアー

>> 澄川龍一
アニメ音楽誌「リスアニ!」副編集長。編集や執筆のほか、イベント司会など行う。
>> 冨田明宏
音楽評論家、ラジオMC。アニメ誌や音楽誌での執筆や連載、『リスアニ!』の 企画/メイン・ライティングを担当。
>> 西原史顕
アニメ音楽誌「リスアニ!」編集長。同誌からマルチ展開したLIVEやWEB、TV番 組などの制作にも携わる。
>> 吉田尚記
『ミュ~コミ+プラス』AM1242(月)~(木)24:00-24:53
パーソナリティ、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。
>> 齋藤光二
アニメロサマーライブ・ジェネラルプロデューサー。通称「齋藤P」。