ランティスの名曲を伊藤真澄がアレンジ。それぞれのアーティストがセルフカバーするアルバム
「Heart of Magic Garden」の２作目が、この夏リリースされる。ポップの名手がレーベルメイトた
ちと作り上げた、新たな“魔法の庭園”。今回はどのような造りになっているのか。
　今回収録されるのは、全10曲。最も時代を遡る曲はGRANRODEOの「delight song」で、2007年12月の
リリース。最も新しい曲はfhanaの「いつかの、いくつかのきみとのせかい」で、2014年4月のリリース。つまり、
近年のランティスを代表する楽曲が中心になっている。そしてもう一つの特徴は、“魔法の庭園”に夏の装いが感じられる
こと。アコースティック・スタイルの風通しのよいアレンジは前作同様だが、何曲かにラテンやスカの要素が入りこみ、
リゾート気分を味わわせてくれる。青空と草原が似合うアルバムでありつつ、その向こうに海の気配も漂っているのだ。
　参加アーティストの新鮮さもいい。前作に続いての参加は、伊藤真澄本人を除けばChouChoのみ。「Heart of Magic
Garden」のリリースから数ヶ月後にCDデビューを果たしたZAQ、2013年メジャーデビューのfhana、そして2014年
にランティスよりアーティスト活動を再スタートさせたTRUEなど、新たな勢力がここでも台頭している。その一方、
実力派アーティストとして長くランティスに関わってきたCooRieが参加しているのもファンには嬉しいところだ。
前作があったからこそ、今作のラインナップには、「待ってました！」感をより強く感じることができる。
　CDジャケットは、伊藤真澄シェフのレストランをイメージしたものだそうだが、彼女のフルコースは食べごたえが
ありつつ、一口味わうだけでも幸せな気持ちになれるのが特徴。最後の皿まで味わい尽くしたら、もう一度最初から。
何度でも楽しめる、この夏の名盤だ。（TEXT BY　鈴木隆詩）

delight song

KISHOW（谷山紀章）とe-ZUKA（飯塚昌明）によるGRANRODEO。今年で活動歴10年になるランティス男性アーティストの代表株だ。「delight song」は2007年12月26日にリリースされた6thシングル。ミッドテンポのロマンティックなロックナンバーだ。イントロからe-ZUKAのギターがガンガン鳴っている原曲に対して、今回のアレンジは弦楽器が清らかな音を奏でる。テンポダウンされ、KISHOWのボーカルも優しく響く。間奏のダンディなギターソロと透明感ある伊藤真澄のコーラスの重なりも聴きどころ。

　「delight song」はとても思い入れのある曲です。初めてのノンタイアップシングルで、感謝の想いとか、生きる歓びとか、ポジティブな感情を歌詞にしました。真澄さんのアレンジは、この曲の魅力を更に壮大に、全てを受け止めてくれるような寛大さで包んでくれています。 （GRANRODEO／KISHOW）

Sparkling Daydream

音大のピアノ科出身でクラシックからアニメソングまで、あらゆるジャンルに精通するシンガーソングライターZAQ。彼女がランティスからCDデビューしたのは2012年10月24日。アニメ『中二病でも恋がしたい！』OP「Sparkling Daydream」だ。原曲は性急なピアノと女声コーラスのイントロから始まり、エレクトリックなギミックもたっぷりのアニソンらしいキラキラな曲。伊藤真澄はそれをオシャレなスカナンバーに変身させた。ZAQのボーカルも余裕があり、中二病の世界は完全脱出。キュートな大人のサウンドに。

　「Sparkling Daydream」が、新たにうまれかわりました。真澄さんによって、スカバージョンにリアレンジされたこの曲。こんなにも可愛らしく、歌っていて歌詞を乗せやすいグルーヴを生み出しているアレンジは、自分自身大変勉強になりました！レコーディングも真澄さんと一緒にキャピキャピ楽しくお話しながら歌いました。そんな楽しさが全面に押し出されている曲だと思います。皆さんも楽しんでください！ （ZAQ）

UNISONIA

スフィア、Stylipsなどアニメ・声優系アーティストに多くの詞を提供している作詞家・唐沢美帆が、今年２月からTRUEとしてアーティスト活動を再開。そのファーストシングルが「UNISONIA」だ。アニメ『バディ・コンプレックス』のOPであるこの曲は、サビ始まりのドラマティックな展開が特徴。高速のデジタルサウンドとTRUEのハスキーボイスが都会的な雰囲気を作り出す。それに対し、伊藤真澄のアレンジはラテン。情熱と哀愁漂うサウンドで、TRUEのボーカルにもさらなる艶が。コーラスとの絡みも美しい。

　「UNISONIA」は私のデビュー曲。そんな大切な曲が伊藤真澄さんのお力をお借りして大人ラテンに生まれ変わりました。最高の１曲です。私自身、魂をぶるぶると震わせながら歌わせていただきましたが、特に後半にいくにつれて激アツ。この曲を通して「音」を「楽しむ」という音楽の真髄を改めて教えていただいたような気がしています。皆さんの心も燃え上がらせること間違いなし。是非様々な年代の方に聴いていただきたいです。それにしてもアーティスト冥利に尽きる贅沢な仕上がり。この記念すべき作品に参加させていただいた事、とても光栄に思っております。リズムが織りなす情熱的なグルーヴを篤とお楽しみ下さいませ。いつか生バンドで歌える時が来る事を楽しみにしております！（TRUE）

いつかの、いくつかのきみとのせかい

インターネットを主な活動の場にしてきたサウンド・プロデューサー佐藤純一、yuxuki waga、kevin mistunagaの３人が組み、ボーカリストtowanaを迎えたユニットfhanaの4thシングル。『僕らはみんな河合荘』OPで、清涼感溢れる青春ポップスだ。軽快なキーボードとドラムから始まる原曲に対し、今回のアレンジはゆったりとしたベースと木管が特徴。ボサノバタッチのオシャレなサウンドに様変わりしている。２コーラス目のサビから後の展開は、この曲が最も盛り上がる部分だが、そこにはブリティッシュ・トラッドの味付けが。先が読めないマジカルなアレンジに魅了される。

　この曲は、軽やかに歩くような、そんなテンポ感を意識して作った楽曲なのですが、今回真澄さんがさらにゆったりとした、暖かでおだやかな、そして大人っぽさも可愛さも感じられる素敵なアレンジに仕上げてくださいました。私はボーカルとして、さらに伸びやかに歌うところ、跳ねた感じで歌うところ、などなど意識してレコーディングに参加させていただきました。楽器のレコーディングにも立ち会わせていただいたのですが、自分たちの曲が真澄さんカラーに染められていく様子を見て、わくわくが止まりませんでした♪　ランティスの皆さんと一緒にこのアルバムに参加できて本当に嬉しかったです！新しくアレンジされた「いつかの、いくつかのきみとのせかい」ぜひ聴いてみてください！（fhána／towana）

空とキミのメッセージ

　2013年5月22日にリリースされたChouChoの６thシングルで、アニメ『翠星のガルガンディア』ED。ギターとバイオリンの音色が爽やかな原曲が、伊藤真澄のアレンジでは80年代歌謡曲の世界にレイドバック。バックの楽器がキュートなフレーズを奏で、優しくキャッチーなメロディと清々しいボーカルを際立たせている。サビのメロディを予告的に聴かせる長めのイントロや、２コーラス目に入る直前のブレイク、伊藤真澄の声によるどこか懐かしい間奏のコーラス、フルートによるガーリーなアウトロなど、いたるところに遊び心が。

　私は前回「カワルミライ」をとても素敵にアレンジしていただいたので、今回もどんなアレンジになるのか楽しみにしていました。「空とキミのメッセージ」はテレビアニメ『翠星のガルガンティア』のED主題歌で、そのアニメ映像が夕方から夜にかけての映像だったこともあり、自分の中では夕焼けのイメージが強い曲でした。そんな「空とキミのメッセージ」が、真澄さんのアレンジで180度イメージを変えました！静かに始まるイントロは一日の始まりを感じさせ、キラキラした音色は暖かな木漏れ日のようでした。爽やかで可愛らしいこのアレンジに合うように、原曲よりも明るく軽やかに聞こえるような歌い方を意識しました。この楽曲の持つ新しい魅力に気付くことができ、本当にうれしかったです!(ChouCho)

ユメのなかノわたしのユメ

　2012年8月8日にリリースされた6thシングルで、アニメ『人類は衰退しました』ED。特徴のあるメロディラインと、透明でふわふわしたボーカルによるドリーミーな曲。今回のアレンジでは、テンポダウンしてオリエンタルな雰囲気が加味されている。小鳥の鳴き声やベル、おもちゃのピアノや鉄琴のような音が混ざっているのも楽しいし、歩調がさらにゆっくりになって立ち止まるように終わるエンディングも心地良い。原曲も浮遊感がある印象だったが、今回と聴き比べるとけっこうアグレッシブで、ロックしていたので驚いた。

　原曲は可愛いのにブラックな骨太サウンドでしたが、異国情緒たっぷりに仕上げました。アンクルン、マリンバ、トイピアノ、チェロ、おもちゃなどが楽しい彩りを添えています。聴き終えた頃には頭がフニャフニャにとろけちゃいますよ♪（伊藤真澄）

ハナノイロ

　インディーズでの活動を経て2010年にメジャーデビューしたnano.RIPE。「ハナノイロ」は2011年4月20日にリリースされた3rdシングルで、アニメ『花咲くいろは』OP。彼らの名を広く知らしめたヒット曲だ。きみコのゆったりとしたアカペラから始まり、ギターとドラムが入ったところで疾走感が一気に高まるのが原曲の魅力。メロディよし、ギターのフレーズよしの青春ギターポップだった。今回のアレンジもきみコのアカペラから始まるのは一緒だが、その先はしっとりとしたミディアムバラードに。メロディの切なさがより際立つ曲に生まれ変わった。

　デビューしてからのぼくらの代表曲と言っても過言ではない「ハナノイロ」。nano.RIPEはこれまで4人の音のみでアレンジすることに重きを置いてきましたが、今回の真澄さんのアレンジにより、こんなにも世界が広がるんだと衝撃を受けました。原曲とはまた違う風景がアタマの中に浮かび、歌っていてもまったく違う曲のようでした。まだまだやれることってたくさんあるんだ！と、今回参加させていただいてひしひしと感じました。まさに、真澄さん×nano.RIPEで完成した唯一無二の1曲だと思います。どうか、たくさんの人に届きますように。(nano.RIPE Vo&G きみコ)

Above your hand

　ブエノスアイレス生まれ日本育ち、凛とした声が魅力の女性シンガーAnnabel。この曲は2012年5月23日にリリースされた4thシングルで、アニメ『さんかれあ』ED。アコースティックギター一本のイントロからボーカルが入り、少しずつキーボードやコーラスが加わって、やがてノイジーなエレキギターやドラムが鳴り出す……と、原曲はオルタナティヴロックの荒涼感をも含んだサウンドだった。今回のアレンジはざらりとした感触が後退し、ふくよかなイメージに。呼吸のように同じフレーズを繰り返すキーボード、厚みのあるコーラス、曲に奥行きを作り出すギターが大人の雰囲気を作り出す。

　生まれたばかりの小さな恋心をひとり呟いているような原曲が真澄さんの壮大なアレンジでとめどなく溢れる愛の歌に変わりました。今回新たに加わった、私の母国語であるスペイン語でのコーラスも「なんで今までやらなかったんだろう！」というくらいぴったりハマッていて今後、自分の楽曲でもじゃんじゃん活かしていこうと思いました。新しい可能性とチャレンジの場を下さった真澄さんに感謝です。皆さま是非、大きな風に包まれるように生まれ変わったAbobe your hand、聴いて下さいませ。(Annabel)

星屑のサラウンド

　10年以上ランティスから作品を発表し続けている、女性シンガーソングライターrinoのソロプロジェクトCooRie。この曲は2009年8月26日にリリースされた15thシングルで、アニメ『宙のまにまに』ED。優しい歌声とメロディに心癒やされる、星空が似合う曲だ。今回はそれをレゲエにアレンジ。同じ星空の下でも、夏の空気感を伴っている。rinoの女性らしい可憐な声がレゲエのリズムに乗っているのは新鮮だし、自然に体を揺らすことができるダンスミュージックになっているのもポイント。間奏やエンディングの木管楽器が、とってもオシャレだ。

　『星屑のサラウンド』は、作品の世界を描きつつ、アニソンへの感謝の気持ちをも込めて書いた、私にとって凄く大切な楽曲です。そんな楽曲を、真澄さんサウンドで、また新たな表現世界へと導いて頂き、凄く凄く嬉しいです。レコーディングは、音楽への愛に満ちあふれていて、泣けるほど幸せで楽しい一時でした。夏の終わりを予感させるような、柔らかなレゲエサウンドに乗せて、皆さんの心に「煌めきの物語」が届きますように♪（CooRie　/ rino）

Snow halation

　メディアミックス企画『ラブライブ！』によって生まれたアイドルユニットμ's（ミューズ）。「Snow halation」は2010年12月22日にリリースされた2ndシングルで、初めてμ'sというユニット名が記されたCDとなった。クリスマスという特別な季節を舞台にしたラブソングで、軽快なリズムとキラキラしたアレンジが特徴の正統派アイドルポップ。それを今回、伊藤真澄はグッとテンポを落として、ストリングスを多用した荘厳なアレンジに。12月らしさはそのままに、より切なく深い印象に生まれ変わっている。この曲のリリース以降、多くの楽曲を歌うことで成長してきたメンバー達の、現在の歌声にも注目したい。

＜新田恵海（高坂穂乃果役）＞
大好きなSnow halationをアコースティックver .にリアレンジしていただき、本当に光栄です！楽器レコーディングの際にも立ち会わさせていただきましたが、素晴らしいサウンドに終始涙が止まりませんでした。本当に素敵な作品になりました！μ'sにとって、大切な宝物がまた増えました。みなさまの心が、やさしい雪に包まれますように＊

＜南條愛乃（絢瀬絵里役）＞
楽器のRecから見学させて頂いて、Snow halationの新しい一面をまた見ることができて、とてもうれしいです。私のRecも、気持ちを込めて歌わせて頂きました。μ’sの曲をこうして参加させて頂けて、光栄です。楽しんで下さいね。

＜内田彩（南ことり役）＞
伊藤さんのアレンジとオーケストラ演奏で、より壮大で幻想的な曲になったと思います。素敵です！テンポも原曲よりゆったりなので、よりじっくり気持ちを込めて歌うことが出来ました！ずっと歌ってきた大切な曲をまた新しい気持ちで歌えるなんて贅沢だし、わくわくしながらレコーディング出来てとても楽しかったです。新たにコーラスが入っているので、そこも注目してほしいポイントです♪

＜三森すずこ（園田海未役）＞
沢山のステキなアーティストの皆さんと一緒に参加することが出来てとても嬉しく思っています。『Snow halation』は私達μ’sとファンであるラブライバーのみんなにとって、とても大切な一曲です。今回、アコースティックバージョンで新しくアレンジされたものは、『Snow halation』の歌の世界観がより引き出されていて、しっとりと切なく、心に響く曲になっています。μ’sの楽曲を聴いたことない方にも興味を持っていただけたら嬉しいです。

＜飯田里穂（星空凛役）＞
今回ラブライブ！の中でもとても大切な曲「Snow halation」をリアレンジしていただけるときいてドキドキしていましたが、しっとり感とパワー感がある「Snow halation」がさらに、壮大に感動的な世界になっていてオケを聞いた時にもうすでに聞き入ってしまいました。ラブライブ！にとってこのような曲調は初めてだったし、凛ちゃんとしてもゆったりと素直な気持ちで歌うことを心がけました。私のレコーディングの時には真澄さんがいらっしゃって本当に緊張しましたが、合間に気さくに喋りかけていただいて緊張がほぐれたのを覚えています。どんな風に完成になっているのか私も本当に楽しみです！！みなさんもぜひ沢山聞いてくださいね☆

＜Pile（西木野真姫役）＞
今回、Snow halationがリアレンジされたのですが、オケを聴いたときに実際のオリジナルとはまた違って、テンポも変わっていたので、また新しい曲のように聴けて新鮮だな、と思いました。オーケストラの演奏に皆の歌声が乗っているのですが、初めてSnow halationをレコーディングしてから４年経ち、Snow halationも「ラブライブ！」TVアニメ２期の中で登場した後での再レコーディングだったので、また新しい気持ちで歌えた曲になりました。ぜひ、そんな背景も交えて聴いていただけると嬉しいです（*^^*）

＜楠田亜衣奈（東條希役）＞
Heart of Magic Garden2に参加させていただき、とても嬉しいです！Snow halationは私達μ’sにとって思い入れの強い一曲です。こんなに素敵にリアレンジしていただき、更に大好きな一曲になりました。私は楽器のレコーディングを見学させていただいたのですが、まるで魔法にかかったような素敵な音色で、音楽の素晴らしさを改めて実感しました。私自身、このアルバムを聴くのを楽しみにしていました！たくさんの方に聴いてもらいたいです。

＜久保ユリカ（小泉花陽役）＞
『Snow halation』はμ’sの中でも珍しいラブソングです。冬に誰かを想う甘くて切ない感情を歌うこの曲が、今回の「Heart of Magic Garden2」に参加させていただいたことによって、その切なさがさらに際立ったように想います。聴いてくださった方には『Snow halation』の新たな魅力を感じていただけますと嬉しいです。

＜徳井青空（矢澤にこ役）＞
Snow halationはμ’sにとって、とても大切な１曲です。今回リアレンジしていただけて本当にうれしいです！５年目のμ’sの思いを込めて歌わせていただきました。Snow halationを初めて聴くみなさんにも好きになっていただけたらうれしいです。さらに素敵になった心のメロディ。届きますように…。