——では、楽曲を順に解説していってもらいたいのですが、2曲目が「Go a head」です。
bamboo
この曲はね、去年にもう出来ていたんですよ。実は去年にアルバムを出したいと思って、いくつかレコーディングした曲あったんだけど、その中のひとつです。最初ね、これラップだったんですよ。
一番星
しかも、超イケてないラップだったよね。
bamboo
歌詞書いてくれた伊東隼人って、声優なんですけど、下北でガチのパンクバンドをやっているんですよ。会話の中に必ず「ロックンロール」が入ってくる、愛すべきバカで。
僕は彼の書く歌詞がすごく好きだったんですよ。それで、1曲歌詞を書いてと頼んで上がってきたのですが、 メチャクチャな内容を書いてきやがって(笑)
直すのが結構大変だったんですよ。あいつは自分の為に書いた曲しか作れない、というのが判明しました(笑)でも、この曲は変わった一面が見せたかったんですよね。
——だから、ラップを取り入れてミクスチャーにしたんですね
bamboo
でも、仮歌録った後にこれはダメだとなって。僕の歌えるラップのレベルを超えていたんですよ。ものすごい譜割の曲でしたからね。
一番星
このラップバージョンを、bambooの結婚式で流そうよ。
bamboo
嫌だよ(笑)!
——次の曲が「スキスキJunk麺」。インスタント・ラーメンの歌ですね。
bamboo
これもはじめは、まったく違う曲になる予定だったんですけどね。最初は、〈卒業式〉をテーマにした歌詞を付けていたんですよ。
——それはまた、えらい変わりようですね(笑)。
bamboo
ぶははははは(笑)! 結局、インスタント・ラーメンを作っていて、スープの粉を入れ忘れた時の怒りを歌詞にしようと。
今回、いつものようにタイアップがないじゃないですか。それがなんだかやりづらかったから、だったら自分たちでタイアップを作ろうと思ったんですよ。
——なるほど! テーマを外に求めようと。
bamboo
そこで「サッポ●一番」と「ペヤ●グ ソース焼そば」という、日本の国民食2つをテーマに曲を書いてやろうと思って。
——しかしこの曲は、細部にまでこだわり抜いた曲ですよね。
bamboo
milktubのテーマの一つに〈実用的〉というのがあるんだけど、これはまさにそういう曲。そこは、ぜひCDを買って、聴いて、感じてもらいたいですね。
いつも曲を録ってくれるエンジニアの岡田さんやディレクターのms-jackyが、「この曲聴くとラーメンが食いたくなる」って言っていて、レコーディング終わった後みんなでラーメン食いにいったんですよ。
——それは最高の褒め言葉ですね。続いて「Speed」ですが、この曲は宮崎京一さん作曲ですね。
bamboo
京一は凄い付き合いが長くてさ、もう三人目のmilktubだと思っていて、今回はこの曲を書いてもらったんですけど、唯一3分に届かなかった曲でもあって(笑)。
まさにSpeedな曲になりました。
——桑島さんの書かれた〈自分の夢を見つめなす〉という歌詞のテーマが、すごくグッ!ときますよね。えらく直球な歌詞ですけど、裏テーマ的なものとかあったりするんですか?
bamboo
全然、ないです(キッパリと)。
一番星
(違うじゃん! 「そうです」って言っておいて、さも何かあるような受け答えしておけば、深読みする奴が出てくるから!)
bamboo
あー、そうそうそう。いろいろあってね、ハハハ。死んじゃってさ、クリスマスの夜にアイツが(棒読み)。
——“あいつ”って誰ですか(笑)。今の一連のやり取り、そのまま活字にしますからね!さて次の曲ですが、「ここにいる」です。yozuca*さんが歌詞を書かれた曲です。
bamboo
いつも曲書いてあげてるんだから、今度は書いてくれよと。歌詞的にはてっきり後ろ向きな状態から前向きになっていくような歌詞を書いてくるのかと思いきや、全編でポジティヴ・シンキングな感じで上がってきて、ビックリしました。裏話として、yozuca*は俺に「Say Good-Bye」って単語を歌わせたかったらしいんだけど、断固拒否しました(笑)
つーか今時「Say Good Bye」てアータ。
昔、「ガッデム&ジュテーム」って曲で俺がyozuca*に「ルージュで描いたSay Good-Bye」と、この平成の世に歌わせたことがあって。その仕返しだと言っていましたけどね。
あと、「バラードの歌詞を書いて」と頼んだら「え?珍しいね」なんて言ってくれていたんですが、曲聴かせたら「全然バラードじゃないじゃん!」と言われてしまいまして。
俺たち的には、BPM200切ってるし、充分バラードなんだけどね。
——(笑)。このアルバム唯一のバラードってことですよね?!(笑)
bamboo
この間、Coorieのrinoちゃんが「すっごく速い曲書いたんですよ! BPM170くらいの」って言うから、「それ、ウチではバラードだよ」って言ったら、絶句してました。
——あはははは! でも、すごく良い歌詞ですよね。
bamboo
そうですね。またyozuca*を好きになってしまいましたよ! ……って言っておけば大丈夫かな。
——そのまま活字にしますから! さて、次の曲は「It’s OK!!〜ピエロのおっちゃん賛歌〜」ですが、これについては……。
bamboo
〈milktubインタビュー第三段〉で詳しく語っているので、そっちを見てもらうってことで!
——ですね。ということで、次の「Fourteen-Sick」ですが、これ僕大好きです!
bamboo
臼倉も「泣きました!」とか言ってて。何で泣いているんだか意味が分からない(笑)。
臼倉
えーーっ!だって歌詞が泣けるじゃないですかぁ!
一番星
(苦笑)。でも、やっぱり俺達と言えばこの路線だよね。
bamboo
確かに、今回少しだけ背伸びした歌詞が多い気もするしね。前から、オリジナル・アルバムを作る時は絶対に中二病の曲は入れようと思っていたので、念願かないましたよ。
冨田君もそうだと思うけど、やっぱり昔からなりたくて今の仕事についているわけじゃない?
——その通りです!
bamboo
俺達もそうなんだけど、好きなことを仕事にしている人間は、基本的にみんな中二病です(笑)。
で、ここで書いていることはほぼ実体験なので。中二病っていろいろな定義があるとは思うんだけど、俺の考える中二病はこれ! って感じの曲ですな。
一番星
この状態がほぼ現状維持だからすごいよなぁ。
bamboo
30歳過ぎたって、頭の中はまったく変わってねえのがなぁ(笑)
——それって、僕たち的には理想像ですけどね。このアルバムって、基本的に物凄く健全な青春パンク・アルバムだと思うんですよ。ただ、中二病が発病しているだけであって(笑)。
bamboo
(笑)。しかも、俺がバンドを始めるきっかけになったエピソードも書いちゃってるしね。誰だってあるじゃない? 急に『ドグラマグラ』読み出しちゃう時期が!
——ユングとかフロイトに傾倒しちゃう時期ですよね?
bamboo
そうそうそうそう。「こいつら、俺の本当の力を知らない……」とか思っちゃったりさ。俺、ガチで『ムー』読んでたから。
一同
(爆笑)。
——わかりますわかります! 「オリオンプレスのニュース提供率ハンパじゃないな!」とか。
bamboo
ぶははははははは(笑)! あったあった!「やべえ!邪馬台国こんなトコにあったんかい!」とか「人体発火現象やべえ!」とか(笑)
でもそういうことって、みんな都合よく忘れちゃうわけですよ。それを、俺達はうっかりまだ持ち続けちゃってるってわけでね。
——(笑)。次の曲いきましょう。「虹」は、橋本みゆきさんの歌詞ですね。
bamboo
彼女は、女性作詞家の中では本当にすごい人だと思っていて。こんあ素敵な歌詞、俺が歌って汚してしまっていいのだろうか? って。
「虹」っていうものについてすげえ歌ってみたくて自分でテーマを出して彼女に書いてもらいました。
あと裏テーマとしてこれも、背伸びソングですね。「これ歌うとモテるかな?」みたいな。
でもバンドがモテるなんて、都市伝説ですからね。『ジョジョの奇妙な冒険』の第2部のラストと同じですよ。
「bambooは、〈バンドはモテる〉について考えるのを、止めた」みたいな。来世に期待します!
——あはははは(笑)。「2030」に行きましょう。
bamboo
「Like a Green」という曲があるんですけど、その曲がすごく好きで。アンサーソングというか、対になる曲を作りたくて、作った曲です。
「2030」って何かというと、由一が、「20時30分に、窓から見える花火がすごい綺麗で。それを書きました」と言っていて。「それはモテそうだな!」ということで、採用した歌詞ですね。
——全然考えることについて止めてないですね。でも、必殺のラブソングですね。
bamboo
まあ、モテませんけどね。女性ファンって、蜃気楼のみたいなものですからね。
一番星
女性ファンは、『ムー』で見たよね?
bamboo
UMAの類かよ! でも、本当にそんな感じでね。恋なんて、花火みたいなものじゃないですか。
パッと咲いてパッと散って瞬間だけキレイな部分があるけどその思い出は決して忘れないみたいな。
——うわぁ。今のフレーズ、超モテそうなんでカットします(ちゃんと使いました)!ラストは、アルバム・タイトル曲「SMILE ENERGY」ですね。
bamboo
もともとは違うタイトルだったんだけど、臼倉が「これ、このアルバムを象徴する歌じゃないですか!」って言ってきて。それで、決めたんです。
ライブについて歌った歌で、いつも来てくれる子とかに対して、「またお前と会いたいなぁ」という思いを、歌にしてみました。
最後にこの曲が来たおかげで、アルバムが締まったなって。ライブの最後に歌いたい曲で。
一番星
お別れに歌う曲って、俺達持ってなかったからね。
——最後に隠しトラックが入っているんですけど。これがあることで、アルバム全体が壮大なフリだったようにも取れますよね?
bamboo
確かに。これは、アルバム全体で40分超えなかったから入れたんだけど、これ入れても結局超えなくて(苦笑)。
一番星
最後まで無駄な足掻きを繰り返していました。
——いやー、改めてすごい作品でした!これを聴いて、ライブに来て欲しいですよね?
bamboo
本当にそう! 初回限定盤には、ライブの予習の為にライブ映像入りDVDも付けたんで。ライブ会場のムードを、みんなに味わってもらいたいんですよ。
何をしてもいいというわけではないけど、はっちゃけて遊べる場所だから。
一番星
milktubは、単純に楽しめるライブを目指しているから。その雰囲気を楽しんでみんなで共有したいですね。
〈インタビュー第2弾につづく〉
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