「第二の”希望”は、私、従士アデーレ・バルフェットが担当します!
”希望”が徳になるというのも、ちょっと不思議な感じですが、これは逆を考えると解りますね。つまり、絶望しないで行こうよ、って事です。
他の徳が、前向きに行こうとする心を支えるものが多いのに対し、”希望”の徳は未来の約束そのものです。だから、昔の騎士達や王様、私のような従士達は、この徳を大事にして、戦争などに向かっていった訳です。
──結果、大体ひどいめ合いましたけど。ええ、向こうも大体同じなので、当たり前ですよね」
「アデーレ! アデーレ! これ、徳の有用性を説明するコーナーですのよ!」
「コーナーじゃありませんよー! 一応授業前哨戦ですからねー!」
浅間さん達も最近リアクション豊かになりましたよねー、とアデーレは思いつつ、言葉を作る。
「この”希望”は、常に未来を指します。だから、ちょっと都合良いところもあるんです。
”希望”を信じて失敗したとしても、”この先にいい未来があるさ”と、やはり”希望”を信じていく事が出来る訳です。そして、”希望”が約束されているなら、休んだって良いわけですよね。
だから、”希望”の徳を得た人達は、意外とのんびり屋です。大器晩成。それを信じて、じっくりと自分の”希望”に近づいていき、もしもそれを得たり、失敗しても、まだまだ上に続いていく”希望”を信じていきましょう。
ええ、──胸だって背丈だって”希望”を信じていれば大丈夫です。負け続きでも、ええ、その、うん、何ですかねえ……、心、折れ掛ける時、ありますよねえ……」
「誰か! 誰か御客様の中にアデーレの”希望”をお持ちの方はおられませんの!?」