澄川龍一
茅原実里の最新シングルにして、彼女の音楽においてまたあらたな一歩を踏んだことを示す一曲。ピアノやストリングスを交えたダイナミックなロック・サウンドのなか、アグレッションとは別ベクトルにあるようなセンティメンタルな雰囲気を感じさせるメロディにキュンとなる。茅原の声も時折聴かれるファルセットも含めてより洗練さを増した印象で、そこで歌われる“痛み”から“希望”へと繋がれる言葉たちは、今までより確かな手触りで耳に入り込む。これもまた充実の2013年を象徴する一曲だ。
冨田明宏
そんな「もはや敵なし、あまりにも圧倒的」な3人によって生み出された、最新のマスターピース。アニメ作品のタイトルをそのまま曲名に冠することも初めてだったわけで、その気合いも曲の端々に窺える。作品性を象徴するような深い哀切と情緒、そして駆け出すような青春感。そんな歌詞を支え、受け止めたメロディはどこまでもまっすぐで、しなやかで、今すぐにも感情が溢れだしてしまいそうなほどに情熱的で、叙情的なバンド・アンサンブルとともに鳴り響く。ピアノの旋律がなんとも美しくパワフルで、この楽曲の持つエモーショナルな魅力を最大限に引き出している。茅原は楽曲が緻密に描き出す場面描写を的確に捉えて感情を注入し、切なくも希望を感じさせるような、絶妙な歌声を刻みつけていく。ロックの王道を行くようでもありながら、しかし革新的なバランス感覚によって成立しているであろうこの曲は、3人の関係性とともに積み上げられたクリエイティヴィティがなければ成立し得ない名曲と言えそうだ。
西原史顕
その先にあったのは、〈希望〉。疾走感溢れるサウンドに乗って、茅原実里が僕たちに人の真理を示してくれる。涙が溢れてくるのは、そんな正直すぎる心根を抱くことが、逆にこの世の生きづらさをあぶり出してしまうからだろうか……。今は夢の国の途中である。だがしかし、僕らが頭の中で思い描く夢の国はそれぞれが帰属する現実世界と切っても切り離せない。そんな常識を易々と切り裂いてくれる彼女は間違いなくアーティストであり、「境界の彼方」を知る者なのだ。それにしても、渡辺シュンスケによるピアノの泣きっぷりと言ったらなんだろう。間違いなくこの音は〈駆けている〉。ここまで人の感情を色鮮やかにしてみせる音の力にワクワクするのも、この曲を楽しむ一つの方法だ。
吉田尚記
激しい戦いのさなかに、ふっと見えてくる、あれ?いままでわかっていなかったけど、これか、こういうことか!!とより、力が湧いてくる。その瞬間が、ここの冒頭15秒に凝縮されています!!
あと、ポップロック、UNISON SQUARE GARDEN→堂島孝平、という流れの音楽が大好きな身としての驚きは、なんとこの曲のピアノ、シュローダーヘッズの渡辺シュンスケさんであること!!!!うほー、端正なようでいて、ライブではピアノから飛び降りちゃったりするあの人のヤバさも、満ち満ちています!!
齋藤光二
いきなり歌い出しで始まり一気に沸点へ。でもそのドライブ感はずっと続き、重厚なストリングス、生ピアノのバンギング、そしてサビの歌唱でぐっと感情を掴まれます。
初めて聴いたとき、単純なABサビではない変則的な構成に惹かれつつ、どこか懐かしいような青春を感じるメロディに、普通のアニソンとは違う風合いを感じました。
歌詞やサウンドやイメージを意識しながら、繰り返し聴くうちに、より鮮明にこれは名曲だ、というのがきっとわかるはずです。噛むほどに美味しくなっていく「スルメ曲」ではないでしょうか。