澄川龍一
宇宙を飛び回るジェットコースターを思わせる、前作『D-Formation』に続いてI’veの高瀬一矢と接近を果たしたアップリフティングなデジタル・ナンバー。『NEO FANTASIA』仕様ということもあってか、茅原実里にとって未知との遭遇であった前作の「嘘ツキParADox」よりキャッチーさは増し、茅原のボーカルも適度な温度を保ったまま躍動する。とはいえ実にI’ve的、実に高瀬一矢的コズミックなグルーヴを持つトラックは健在なだけに、それが茅原実里的な爽快感溢れるポップスに昇華されているのはまた新鮮に聴こえる。
冨田明宏
これはI’ve高瀬一矢にしか生み出すことが出来ない、“I’ve sound”の粋を結集させたかのようなパーティ・ソングである。サイケデリック・トランスをベースとした心地良いトラック・メイクと、エッセンスとして持ち込まれたNEW WAVE~ユーロビート系のシンセ・サウンドが絶妙な高揚感を生み出している。ともすれば、両者を合わせるとレトロな印象になりそうなサウンド・スケープだが、メロディラインが持つ問答無用のパーティー感がグイグイと楽曲を加速させ、キャッチーで斬新なポップソングへと昇華させている。高瀬といえば、前作『D-Formation』に収録されていた「嘘ツキParADox」でも最高にクールなアシッド・トランス・ナンバーを提供していたが、今回の「TOON→GO→ROUND!」で見せたまったく異なるアプローチも新鮮で面白い。茅原実里の持つ新たな可能性をまた1つ垣間見たようでもある。
西原史顕
明らかにメリーゴーランドにプラスαの意図を加味したタイトル「TOON→GO→ROUND!」。それにしてもいかにも高速回転していそうな雰囲気ではないか。スピード面で大きな変化をつけてきたM4は、音楽制作集団I’ve特有のデジタルサウンドで電子の歌姫・茅原実里を演出。ちなみにI’veサウンドと言えば〈トランス〉〈ダンス〉〈ギターロック〉などのキーワードが浮かぶが、今作はこれらの要素を巧みに組み合わせながら、歌詞にもある“ピクセル”感が際立っている。大画面のLEDディスプレイ上で、時に処理落ちするほどの超速度で茅原実里のアニメーションがGO-ROUND。高速回転はいくつもの円軌道となって、こぼれ落ちるドットと共に幾何学的なファンタジーを形成していくのである。
吉田尚記
ここここ、これだから声優さんのアルバムを聞くのはやめられない!! ここまで明らかに生身で情感たっぷりに楽しませてくれていた人が、今度はデジデジした未来的な存在になりきっていたずらっぽく聞かせてくれる!このなりきりは、普通のシンガーの曲では、なかなか……!声優さんの演技バリエーション力、あってこそ!!
齋藤光二
デジロックなイントロが流れると、暗転のステージにぱっとスポットライト、茅原実里がポップアップ!楽しいエレクトリカルショーの始まりです。
様々な色彩の電飾が点滅し、観覧車のようにクルクル回りだすと、ディスプレイのキャラクターたちに命が吹き込まれ、アニメーションダンスを踊り始めます。
そう、ここはバーチャルも飛び越え、リアルなんか追いつかないほどイケてるFairground Attration。
NI-HONG-GOもデジタルに分解/再構成、ビートに乗ったシャープなボーカルが心地よく耳にPLAY。ぜひ「遊園地」の飛びっきりクールな発音を聴いてみてください。