■澄川龍一
ユルいスライド・ギターにサンバ風なビートをごっちゃにしたラテン・ハウス。あまりにキュートなメロディーと汗ばんだ肌を通る風のような清涼感溢れるサウンドのマッチングは、まるでミント・キャンディーのよう。夏のみのりんもまたオツということ。
■冨田明宏
多忙な彼女の心情を代弁したかのような歌詞がなんとも微笑ましい、爽やかな風を運ぶボッサ・ハウス・ナンバー。「too late?not late…」とあわせて聴けば、夏から秋へと季節が移り変わるような、メランコリックなムードも味わえるだろう。ボサノバを四つ打ちに変換したビートは軽やかで、程よくリバーブが効いたサウンドと共に、いつかの夏の思い出をフワリと運び込んでくる。西日が頬をくすぐるような、キラキラと瞬くSEも心地良い。切なく、寂しげな歌声で紡がれるメロディも、サビでは一転してポップ・アップ。軽快な裏打ちのビート感は、ライヴで盛り上がること必至だ。
■仲上佳克
秋発売のアルバムにはぴったりの季節感を持った1曲。夏の終わりの感傷を歌った歌詞は、幅広い層の人たちからの共感を得られるのではないでしょうか。今の季節、どうして人はこんなにもセンチメンタルになってしまうんでしょうね? 今年の夏は特に暑くて、誰もが「早く涼しくなればいいのに」と思ったはずなのに、いざ秋が来ると途端に寂しくなる。それだけ夏という季節が、我々にとって特別なものだということなのでしょう。去ってしまった、二度と戻らない今年の夏に思いをはせながら、じっくりと聴いてみてください。
■永田寛哲
ボサノヴァを思わせる生ギターとラテン・パーカッション、そこにエレクトロニカなニュアンスを含んだシンセが絡み合ったハウス・サウンドで、まさに夏を想起させる爽快なナンバー。過ぎ去った夏をわずかばかりの感傷と共に振り返る歌詞にはピッタリの音像だ。昨今流行の“アキシブ系”サウンドを期待するリスナーにもアピールできる仕上がりで、間奏の展開も素晴らしく、個人的にも非常におススメの1曲!
■前田久
前曲から一転、柔らかな音色のボッサ・ギターを主体に、エレクトロニカ風味のサウンド・テクスチャーが隠し味的に散りばめられた、軽快で涼やかなチルアウト・ナンバー。季節の終わりを感傷的に捉えながらも、けしてウェットになりすぎていない畑の作詞はさすがの一言。それに応えるように、思春期と大人の中間にあるような不安定な表情を歌声で表してみせる茅原の歌唱も素晴らしく、ボーカリストとしての引き出しの多さを感じさせてくれる。
■水上じろう
サマー'07
ちょっぴり切ない夏の思い出。
いつまでも色あせない。
こんなステキな曲を聴きながら海へと向かったら、
どんな思い出ができたでしょう。
過去は未来につながり、思い出はいつか勇気にかわる。
■渡邊純也
音楽を聴くことである日の思い出がふいによみがえることがある。
それは、記憶と音楽が心の奥底でリンクしているからだろう。
曲中では、何もすることなく物憂げに見送った夏への想いが語られている。
そして思い出すのは《懐かしい人の笑顔》といった過去。
生きるとは今を過去へと見送っていく行為の連続に他ならない。
《来年のいまは何をしているでしょう》
それが今はまだ想像もつかない不安のベールに包まれていたとしても、
何年か後に、この夏を笑顔と共に思い出すことができるように。
爽やかなギターと清涼感に満ちたヴォーカルが不安を一緒に抱いてくれる。
今という時間は未来へのプロローグ。
この曲を聴いて、今を意識することができたら最高だと思う。
クロスレビュアー
>> 澄川龍一
アニソンマガジン(洋泉社)などで執筆中の音楽/アニメ・ライター。
>> 冨田明宏
80年生の音楽ライター。アニソンマガジンの企画/メイン・ライターを務める。その他執筆媒体は、CDジャーナル、bounce、クッキーシーン、アニカンR-music等など。音楽ガイドブック制作によく参加したり、BGM監修やコンピの監修も手掛けたり。
>> 仲上佳克
フリーライター。各アニメ誌・声優誌等にて幅広く活動中。アニメNewtypeチャンネル内の動画インタビュー番組gammyの必萌仕事人ではメインパーソナリティーを務める。
>> 永田寛哲
編集プロダクション・ユービック代表。アニメソング専門誌アニソンマガジン編集長。
>> 前田久
82年生。ライター。通称「前Q」。ライトノベル、アニメ、アニソンなどオタク周辺事象について広く執筆中。主な執筆媒体にオトナアニメ、アニソンマガジン(洋泉社)、まんたんブロード(毎日新聞)、ニュータイプ(角川書店)など。
>> 水上じろう
フリー編集者、ライター。B Street Band所属。千葉県市川市出身。
>> 渡邊純也
構成作家。涼宮ハルヒの憂鬱 SOS団ラジオ支部、らっきー☆ちゃんねる、らっきー☆ちゃんねる 陵桜学園放課後の机、radio minorythm etc.