06:「endless voyage」

作詞:松井洋平 作曲/編曲:矢鴇つかさ(Arte Refact)

澄川龍一

茅原が主題歌を担当し、またホライゾン・アリアダスト役として出演したアニメ『境界線上のホライゾン』にてキャラクター・ソングを多数手掛けた音楽集団Arte Refactの矢鴇つかさによるダンス・ナンバー。グイグイと切れ込むビートとシンセのウワモノがアグレッションと凛々しさも感じさせる歌唱は、『D-Formation』以前というか、我々がよく知る茅原実里の姿だ。こうした外しのないシリアスな彼女の魅力もしっかりとフォローしつつ、それが中盤で鳴らされるというところもこのアルバムの構成における見事なところ。

冨田明宏

「1st STORY」で空に駆け上がっていったアトラクションは、なんとそのまま宇宙空間へと場面を変えていった……そんなコズミックなサウンド・スケープで幕を開けるのが、Arte Refact矢鴇つかさが作編曲を手がけた「endless voyage」である。この楽曲、駆け抜けるようなトランス・サウンドのパワフルな音圧の中で、存在感のあるギターが唸りを上げるアレンジメントが問答無用でかっこいい。少し懐かしさも感じられるようなサイバーなデジタル・サウンドだが、やはりこの手のサウンドが持つ快楽性、中毒性には体が抗えない。しかも、しなやかで力強い茅原の歌声がどこまでも耳に心地良く、情熱的に響く。松井洋平が手がけた、宇宙をモチーフにしながらもさまざまなメタファーが織り込まれている壮大な歌詞も美しく、実に感動的である。

西原史顕

90年代ユーロトランス、最先端のEDM、テクノポップなどのエッセンスを要所要所に取り入れたサウンドが抜群にハイセンスなデジタルチューン。2012年以降、新手の音楽制作集団としてすっかりシーンに定着しているArte Refactだが、自分たちの個性を存分に発揮しつつ、この「endless voyage」を100%〈茅原実里のデジタルロック〉に仕上げてきた技量に脱帽だ。アルバム中盤を構成するメロディアスなパートにおいて、茅原実里の声に含まれた独特な憂いが〈速めの〉アレンジと〈遅めの〉メロディの組み合わせによってますます際立ってゆく。倍音の塊が面となって迫ってくる彼女の発声は、こうした言葉数の少ない楽曲でより特徴的になるのだ。明るさの中に潜む叙情ではなく哀愁。絶妙なニュアンスを突いた良曲である。

吉田尚記

エンターテイメントの基本は、緊張と緩和。いままで全力で楽しませてくれていた人が、突然、ニコニコした楽しさから、ちょっとした、緊張感をもってこちらに迫ってくる。この辺で、ただ楽しい一辺倒の子供っぽいテーマパークじゃなかったことに気付かされます。アトラクションで武器の剣や銃を渡された時に感じるあの高揚感が……!そして戦い、勝てるのか?!

齋藤光二

幾多の困難や戦闘も切り抜け、運命という目的地へ向かうSFライド・アトラクション。 力強く歌われるのは、「2013年宇宙の旅」に旅立つアナタの主題歌です。 イントロで一気にワープした先には、人類の叡智や探査能力を遥かに超える神秘の宇宙が拡がります。冒険のストーリーとVOYAGERの操縦は、リスナーの想像力次第。 シンセサイザーがレーザーのように飛び交う中、左右のギターが推進動力源となって突き進みます。さて、主人公の運命や如何に!? To be continued…

クロスレビュアー

>> 澄川龍一
アニメ音楽誌「リスアニ!」副編集長。編集や執筆のほか、イベント司会など行う。
>> 冨田明宏
音楽評論家、ラジオMC。アニメ誌や音楽誌での執筆や連載、『リスアニ!』の 企画/メイン・ライティングを担当。
>> 西原史顕
アニメ音楽誌「リスアニ!」編集長。同誌からマルチ展開したLIVEやWEB、TV番 組などの制作にも携わる。
>> 吉田尚記
『ミュ~コミ+プラス』AM1242(月)~(木)24:00-24:53
パーソナリティ、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。
>> 齋藤光二
アニメロサマーライブ・ジェネラルプロデューサー。通称「齋藤P」。